シリンダーヘッド

半円球型のペントルーフタイプと皿型のバスタブタイプが有り、ヤマハ700、カワサキ750の純正はバスタブタイプを採用してます。アフターマーケットのメーカーはほとんどペントルーフタイプを採用してます、理由はバスタブタイプはプラグ中心点より外へ行くほど燃料が多くなり燃えるのに時間がかかるためです、すなわち回転を上げると燃焼室外部で未燃焼ガスが残りやすくなります(デトネーションが発生する確率が高い)。経験上7000回転以下(ストック)なら全く問題ないです。

デトネーションとは異常燃焼と言う意味ですが、この症状には2通りの原因があります。
燃料が濃い時の燃えきらなかったガスがエンジン本体の熱やその他の理由で燃え出すこと、
それと薄いときにも起こります、こちらは混合気が冷却に使われてる分が足りなくて排気ガス温度、
燃焼温度がが上がりピストンなどの部品を溶かしてしまうことなどが上げられます。
エンジン開発者関係でもデトネーションの発生のメカニズムは、いろんな因果関係から発生するため
原因を特定するのは難しいとされてます上記以外の原因もあります。

 燃焼効率が良い燃焼室はS/V比(燃焼室の表面積/体
積)が小さいほど良いとされてます。ただピストンの形状でSの比が大きくなりますのでその形状も考慮しなければなりません。
フラットピストン(カワサキ)、凸型ピストン(ヤマハ、シードゥ)。

ペントルーフタイプの形状でフラットピストンを使った場合、凸型ピストンを使った場合よりSの値は小さくなります。
しかし、フラットピストンを使った方が性能がいいとは断言は出来ません、シリンダーのポートの形状を考慮しなければなりません。
IJSBAのトップライダーのsea-doo720ベースモデファイのエンジンはフラットピストンを使用してましたし、JJSFのトップライダーも使っているという話(当方では未確認)を聞いてます。

個人的意見を言うならすべてのセッテングをペントルーフ形状のフラットピストンにあわせればベストだと思います。

ヤマハとシードゥは凸型ピストンを採用してますので、フラットピストン仕様にするにはコストがかかりすぎるため得策では有りません、アフターパーツも凸型ピストンを使う前提で作られてる物がほとんどです。

 

1:純正のヘッドを加工

カワサキはスライスをしてスキッシュをダブルにする,理由は表面積を小さくする。バスタブの形状を少しでもペントルーフに近づけるため。

シュキッシュの角度は4度(アメリカのトップチューナー ビル・チャピン談)がベストと言うことです、当方もカワサキは4度で加工をしてます、セカンドシュキッシュは20度です、コンプレッションは12kgで取ってあります

ヤマハの純正は最悪の形状なので加工して使うのはおすすめ出来ません。

SEA-DOOはスライスして同じシュキッシュの角度で加工します。

注意:カワサキはA型(初期型750エンジン、SX系)のヘッドしかスライス加工は出来ません、製造の仕方が違うためB型以降はスライスすると使い物になりません。

 

2:社外品を使う

B型エンジン以降の機種は純正加工が出来ないため、社外品を使った方がてっとり早いです。
個人的に気になってる製品はアメリカの”ADA”社の製品です。毎年ハバスでブースを出してますので見てますけど製品の仕上げ、デザインなど完成度は高いです。写真はヤマハとカワサキです。

まとめ

市販の燃料(ガソリンスタンドで購入出来る物)では圧縮は12kgまで(ハイオク)可能ですが、安全なのは10kgから11kgぐらいです。また定期的にガスケットの交換をおすすめします、特に純正ガスケットは圧縮を上げた時は長く使っていると、微妙に水抜けを起こします、この症状は乗ってるのには分かりませんがそのまま乗っているとヘッドが最悪割れてしまいます。

このようにチューニングをするのはリスクがともないます、個人の責任で行ってください。

また改造したときは、各都道府県の小型船舶機構の臨時検査を受けましょう、個人でも簡単に受けれます。

 

製作日2000年6月
更新   9月